ミミ言

思っていることをつぶやいていきます

流星の絆 第9話 ③

時効当日――初めて大人になった静奈に会う萩村。大きくなった静奈に驚く。そして、挨拶も早々に、車に乗り込み戸上邸に向かう柏原、萩村、静奈。

功一と泰輔は一足先に戸上邸に向かう。今回、初めて詐欺行為に参戦する功一。功一と泰輔は刑事に扮して戸上邸に潜入する。行成の協力あってのシナリオなので、自宅には政行と行成しかいない。
刑事だと挨拶を済ませると、「14年前に横須賀で起きた殺人事件の現場に残された遺留品に関する捜査です。我々はその中のDNA鑑定を担当しております。と言いますのも、取っ手部分に指の脂肪分が残っておりまして、そのDNAが判明しているからです。」とスラスラ話し出す泰輔。政行は、この間、行成がブラシと髭剃りを提出したのでわかっている、と答える。結果はまだ出ないだろう、と言うが、時効も近いので迅速に鑑定をした、と泰輔。功一に説明をするように言う。功一は、DNAの一致率は99.9%、これは裁判で一致とみなされる数値だと言い報告書を取り出すと、行成は弁護士を呼ぼう、と茶番劇をするが、それを制止する政行。行成と目くばせをする功一。

戸上邸の前に到着する柏原達だが、静奈は貴美子が自宅に入っていくのを見てしまう。

「これであなたが例の遺留品に触れたことが科学的に証明されたんです。正直に話して下さい。あの夜、あなたは横須賀に行かれましたね。」と泰輔。
行成は「待って下さい。取っ手に触れた形跡があるからって、それが父のものとは限らない。どこかで間違って他人のものに触ったとか、あるいは逆に父が使ったものを犯人が盗んだかもしれない。」ずっと黙ったままの政行。
鑑定が出た以上、同行してもらうと言う泰輔の言葉に対し、「確か、あの頃、父さん気に入って使ってたのがあったよね。軽くて、取っ手が握りやすいって。それ、盗まれたよね。」と誘導するように政行に聞く行成。「う…ん、そんなことがあったような気も…。」と政行は歯切れが悪い。
盗まれたのか?それはどういうものなのか?と聞く泰輔に、政行は、「いや、ちょっと待って。考えさせて下さい。」と言う。「話してやれよ、父さん。」急かす行成。
「覚えてないよ、そんな昔無くした傘のことなんか。」と、政行が口を滑らすと、功一達3人の動きが止まり、じっと政行を見つめる。その様子を見て、変だと感じる政行。
落胆した行成は、「どうして傘だとわかったんだ…。遺留品が傘だなんて誰も言ってない。それなのに何で知ってんだよ?」
政行は、功一と泰輔の顔を見る。
「ボロ出しちゃいましたね、戸上さん。」と功一。泰輔も続くように「もう逃げらんねぇぞ。息子さんまで証人になったんだから。」
「どういうことだ、行成。」
「こっちが聞きたいよ。」俯く行成。
「答えなさい!これは一体何のマネだっ!」と政行は罵声を浴びせる。
「どうしたの…?」と、何も知らない貴美子が入ってくる。政行は冷静さを取り戻し、貴美子に功一と泰輔が刑事だと紹介しようとするが、「違います、俺達刑事なんかじゃない。」と功一が言うと、「殺された有明さん夫妻の息子さんだよ。」と行成。驚く政行。功一と泰輔、政行は無言のまま互いの顔を見る。
行成は「父さんを売るつもりはなかった。だって信じてたから。無実を証明できるって…信じてたから。」
泰輔から「あんたの顔見てんだよ、俺。事件の夜にさ。14年間忘れたことなんかない。」と言われ、行成からは「あの夜、一緒に獅子座流星群観ようって約束したのに、父さん出かけてったよね。とにかく、父さんに言いたいことはひとつだ、頼む、自首してくれ。自首して、罪をつぐなってくれ。」と言われるが、政行は一点を見つめ、呆然としている。泰輔は、外にいる柏原達に携帯で連絡を入れようとするが、功一が止める。
そして政行に「何で殺した?言えよ。何故、親父達を殺した?」と聞く。真剣な顔で問う功一の顔をじっと見つめていたが、やっと口を開く政行。「そうですか…。有明さんの息子さん達か。私のことはどこで知ったの?」泰輔が広尾のレストランの前で見かけて知ったこと、静奈も関係していることも話す功一。貴美子は驚くが、そこへ静奈が入ってきて、貴美子に謝る。
政行はすべてがわかり、静奈を見て「どうりで、ハヤシライスを食べて泣くわけだ。」と言うと、泰輔は「テメェ、もういっぺん言ってみろよっ!」と政行に掴みかかろうとする。制止する功一に「離せよ、もう我慢できねぇ、こいつぶっ殺してやるよ!」と言う泰輔。
功一は「殺す時は俺がやる。だけど、最後まで話ちゃんと聞いてからだ。」と冷静だ。
そこへ柏原達も入ってくる。話を続けて下さい、と柏原に言われ、政行が話し始める。
「君達の想像通りだよ。うちの味はアリアケさんが作ったものがベースになっている。あ、いや、そんな言い方じゃ納得しないか。私は…お父さんの味を盗みました。」と言い、行成に自分の部屋の机の引き出しから、黒いカバーのファイルを持ってくるように指示する。
「君達のお父さんは偉大な料理人だったよ。大胆で独創的、且つ、実に繊細だった。だが、料理のこと以外に関心が強すぎた。それさえなければ今頃は、とがみ亭ではなくアリアケが有名店になっていただろうね。」そして、ニューフロンテで政行の作ったハヤシライスがまずいと言われ、トラブルになった後、アリアケに行き、ハヤシライスを一口食べて、衝撃を受けたこと、降伏して恥も外聞もなく土下座をして作り方を聞いたが、そんなの自分で考えろと幸博に言われ、お金を出すから教えて欲しい、とお願いするも、塔子からは、アリアケの味をお金で買おうだなんて、幸博のことを見くびるな、と言われたことや、その後、自分でアリアケのハヤシライスの味を何度も研究したが無理だった、と話す政行。ところが、1か月後に、幸博の方から連絡があり、レシピを買って欲しい、と申し出があった、と言うと、功一達はウソだ、驚く。そこへ、行成がウソじゃない、とファイルを持ってくる。そのファイルの中には、功一の持っているアリアケのレシピノートと同じコピーが入っていた。「これではっきりしたろう、私はアリアケのレシピを金で買ったんだ。あの晩、君が目撃したのは、確かに私だ。私はこのレシピを受け取るために君達の家に行った。だけど、これだけははっきり言っておく。君達の両親を殺したのは私じゃない!私が行った時、君達のご両親は既に殺されてたんだ。」
政行の発言に、驚きのあまり呆然とする3人。