ミミ言

思っていることをつぶやいていきます

流星の絆 第10話(最終話) ①

レシピは盗んだけど、殺していないなんてウソだ!と泰輔と静奈は政行を責める。しかし、政行はウソじゃない、レシピは買ったんだ、と言う。
柏原達は、その話は多分嘘じゃないだろう、と言う。なぜなら、事件当日、塔子が金策に走り回っていたこと、コンビニのコピー機を利用していた姿が目撃されていたことがわかっているからだ。
功一も、事件の夜、靴を取りに下へ行った時、チラッと見えた塔子は泣いてた、テーブルの上にはノートと紙が置いてあったことを覚えている、多分、父親が他人に自分の味を売り渡すことになって悔しかったんだと思う、と言う。
政行は事件当日のことを更に詳しく話し始める。幸博から50万円でレシピを買って欲しいと依頼があり、現金を送った。そして、事件当日の夜、公衆電話から幸博に連絡を入れると、急いで来るように、そして裏口から誰にも見られないように入ってくるように指示があった、と言う。有明の家に着き、裏口に回ると、ちょうど誰かが家に入るのを見た。顔は見えなかったが、もしかしたら自分以外にもレシピを売ったのか?幸博に騙された、と疑いながら、外で待っていた。そのうち雨が上がり、男が出てきたので、家の中に入ると、2人は殺されていた。このままだと自分が疑われてしまうと思い、急いで逃げ出そうとしたが、レシピのコピーが目に入ったので、そのコピーを持って、裏口から出たんだ、と。無実だなんて言うつもりはない、警察に通報しなかったのも保身のためだ、どうしてもハヤシライスのレシピが欲しかった、ずっと後ろめたい気持ちがあり、幸博のアリアケの呪縛から逃れたかったから、各店のオーナーにはそれぞれのハヤシライスを作らせたのだ、と白状し、改めて、土下座をして「君達には辛い思いをさせてしまった。自分の利益のために真実を隠し続けてきた。本当に申し訳ない。」と3人に謝る政行。
泰輔は「よくも…よくもそんな作り話が…。」と政行に近寄ろうとすると、また功一に止められる。功一に抱えられながら「信じんのかよ!こいつの言うこと信じんのかよっ!」と泣き叫ぶ泰輔。
「戸上さん、そんな話を鵜呑みにするほど俺達、素直にできちゃいないんですよ。殺人現場からレシピのコピーだけ持ち去ったなんて、そんな都合のいい話…簡単に信用できないですよ。」と功一に言われ、戸惑う政行。そして、すがるように柏原に助けを求めるが、柏原も功一達と同意見で、14年もあればつじつまのあった作り話をすることは難しくない、その話が真実であると証明できるものがあるか、と聞く。
すると、政行は立ち上がり「あります、少なくともそれで私が犯人でないという証明ができるでしょう。現場には犯人のものと思われるビニール傘が残されていたでしょう。」と言う。
萩村は「ちょっと待って下さい。傘に関しては、一般には公表されていないはずですけど。」
柏原は「功一、お前が話したのか?」
功一は「話す前からこの人知ってましたよ。だから俺達はこの人が犯人だって確信したんだから。」と答える。政行は、なぜ傘のことを知っているのか?と聞かれ、自分の傘だからだ、と言う。それに対し、泰輔はまた「そらみろ、やっぱ、テメェが犯人じゃねぇか!」と立ち上がると、「違う!私は傘を忘れたわけじゃないんだっ!間違えたんです。」と大声で叫ぶ政行。その言葉に、皆、沈黙する。
政行は風呂敷に包まれたビニール傘を持ってくる。きれにビニールに包まれている。驚く功一。柏原の顔つきが変わる。
「私は、傘を忘れなかった。ちゃんと持ってアリアケを出たんです。裏口にあったバケツに傘を入れたんですが、帰る時、私は別の傘を持ってきてしまった。そのことに気付いたのは、アリアケをずいぶん離れてからです。そして思い出したんです。私の前に、アリアケに入った男が傘を持っていたのを。しかし、出ていく時には傘を持っていなかった。忘れたんでしょう。雨が上がっていましたからね。」と言う政行。柏原は、政行が話している途中、萩村の背広の内ポケットから煙草を取り出し、傘を見つめながらぼう然と吸い始める。灰が落ちそうになるのも気にせずに立ち尽くしている。
「こうなる前に名乗り出るべきだった。しかしできなかった。いずれ警察が来ることは覚悟していました。傘から私の指紋が出るだろうから。」しかし、警察は14年間来なかった、やっと来たと思ったら腕時計とか口紅とか関係のないものばかりを出され戸惑った、そして、傘のことを話そうとしていた矢先にDNA鑑定の話が出たのだ、と言う。
「私は、この部分を握っていたんです。間違えたと気付いてからは他の部分は触っていません。調べてみれば柄の部分に犯人の指紋が残っているはずです。」と言う政行に「戸上さん、真実を話して下さいと言ったはずです。あなたの話には矛盾があります。あなたは嘘をついている。現場に残っていたのがあなたの傘で、これが犯人の傘だとあなたは仰る。だとしたら、残っていた傘にはあなたの指紋が残っているはずです。我々は傘を徹底的に調べた。しかし、そこからあなたにたどりつくことはなかった。なぜでしょう。」と問いかける萩村。政行は、自分の名前が捜査線上にあがっていなかったからだ、それに幸博との接点がバレていなかったからだ、と答える。しかし、先日警察に指紋を採取された、その指紋と傘が一致したら…、と心配していた、と言う。萩村は、傘に指紋は残っていなかった、意図的に指紋は拭き取られていた、と言うと、行成は、政行が指紋を拭き取る余裕があるなら間違えないはずだと反論する。
傘を間違えたというのが戸上の思い違いなら、話のつじつまは合う。現場に残された傘は犯人のもので、指紋を消したのも戸上の前にアリアケを訪れた犯人の仕業だと考えたら、と言う萩村に「いや、これは私の傘じゃない。だから14年間保存したんです。私が持っていた傘は、紐の部分がマジックテープで留めるタイプで、先端がプラスチック製でした。しかしこれはボタンだ、柄の部分は金属製。柄の部分の太さも違ってた。見比べてもらえばわかります。」と自信を持って説明する政行。萩村は、遺留品の傘の特徴を確認する、と携帯を取り出すが、柏原は時間がない、と止める。功一は、ぼんやりと傘を見ていたが、柄の部分を見て、何かを思い出したように顔色が変わる。そして、組んでいた手が小刻みにぶるぶると震え出す。異変に気付いた静奈の呼びかけにも答えない。