ミミ言

思っていることをつぶやいていきます

おくりびと

昨日、テレビで『おくりびと』が放送されていました。アカデミー賞を受賞後、皆、こぞって映画館に観に行った人や、DVDを購入した人とか多かったと思いますが、ワタクシは昨日、初めて映画を観ました。騒がれていた時は、特にあまり関心はなかったんですね。勿論、映画には感動しました。

裁判員制度が始まるってことで、ちょっと前に、裁判関連の本を読みあさり、そして、死刑についての本を読みあさり、その時に『死体とご遺体(熊田 紺也著:平凡社新書)』って本も一緒に購入したんです。読んでみて、感動でしたね。涙なくしては読めなかった。そこからです。
続けて、『おくりびとが流した涙(槙村 聡著:ぶんか社文庫)』
納棺夫日記(青木 新門著:文春文庫)』
『今日のご遺体(永井 結子著:祥伝社黄金文庫)』
おくりびとではないけれど、『遺品が語る真実(吉田 太一著:青春出版社)』を購入。
映画がきっかけではなかったのですが、本だけで十分感動します。でも、個人的には、映画のきっかけになったという、『納棺夫日記(青木 新門著:文春文庫)』は、一番読みにくかったな。あと、ブログから書籍化されたことから、『今日のご遺体(永井 結子著:祥伝社黄金文庫)』は、ちょっと軽すぎる感じ。

映画では、芸術的になっていますが、何冊か本を読むと、もっとリアルなことが色々と書かれています。様々な遺体のことや、葬儀社との関係等。結婚式は、最近では何回転もする人がいるけれど、お葬式は1人で何回もできませんからね。経験がない分、知らなかったことも多いので、へぇ~って感じ。お棺の中に、色々遺品を入れると、焼き場の人に葬儀屋が怒られるとか…。また、どの遺体にも死化粧を施せるわけではないし、きちんと処理をしないと…体内にガスがたまって爆発…その処理の辛いこと…とか。

映画でも本でも、納棺師という仕事に対して、周囲の人や家族から忌み嫌われる、理解されない、とありますが、ワタクシは「何で?」って思いましたけどね。実際、もしかしたら、映画の主人公や本を書かれた方々のような素晴らしい納棺師ばかりじゃないかもしれません。でも、仕事としては素晴らしい仕事だと思います。だって、この世から去る時の、旅立ちの支度を整えてくれるんだから。家族でもないのに。
人様から「ありがとう」と感謝される仕事に悪い仕事はないと思います。
高額な報酬も貰え、人から感謝されても…ワタクシは、虫が苦手で臭いに敏感なので…ちょっと無理だけど。

おくりびとが流した涙』の槙村さんが、死に様には、生き様が表れます。どう死ぬかとは、結局はどう生きてきたかの具現化なのかもしれません、と書かれているのですが、それは絶対にあるなぁと思います。誰にも死は、遅かれ早かれ訪れるものですが、一人で誰にも気づかれず亡くなる人や、家族に看取られて亡くなる人や、自らの意思で亡くなる人や、それぞれやっぱり人生の最期は違います。
その死に様も、その人が生きてきた生き様なんでしょうね。
学生の頃は学業で成績を評価されますが、でも、社会に出たら仕事で、または子育てで、様々なことで評価されてるんだと思うんです。そして、人生を終える最期で総合評価が出される…。本当にいい人だった、と皆に思われるのか、こんなところもあったけど、いい人だったよ、と思われるのか、本当どうしようもない人だった、と思われるのか…。別に、いい人だったと思われなくてもいいけれど、でも、死んでから悪口言われるのは、やっぱイヤだもん。ちゃんと生きなきゃなぁ…って思います。誰しも、生まれてくる時は、期待とか希望とかポジティブな思いだけを一心に受けて誕生するのにね…。
似ているところで、『遺品が語る真実(吉田 太一著:青春出版社)』も、読んでみると、いつ死んでしまうのかなんてわかんないから、日頃からちゃんと持ち物の整理とかしとかないと…と思わされます。

人間は幸せなことや、幸せになるためのことは考えるけれど、悲しいことは考えない。なので、縁起でもない、となかなか死について考える人は少ないでしょうね。それが普通って言えば普通なんだろうけど。でも、現実に絶対に避けては通れないもの。
死に様のためにも、誰かをおくる立場になる時のためにも、読んでおいて損はない本だと思います。